フランスのオランド政権では、
「フランス・デジタル化」
が政策として掲げられています。
すっかりフランスは不況の波が吹き荒れていて、
失業率も上がり、支持率も低いオランド大統領ですが、
デジタル技術の振興と活用はオランド政権以前から開発してきた下地もあり、各分野で地道に進化をとげているようです。
大きく3つの方針としては、
「デジタル技術活用による若年層の教育・就業機会増大」
「デジタル技術活用による国内企業の競争力強化」
「デジタル社会・経済におけるフランスの価値の促進」
この中で、「若年層の教育部分」の一例をご紹介♪
Espaces numériques de travail (ENT)
日本でも同様だと思いますが、教育のデジタル技術活用には、フランスでも現在いろんなことが試みが行われています。
クラス全員にIpadやPCを配布した学校もありますし、教科書のデジタル化に取り組んでいるところもあります。
twitterを導入して書き込ませていた学校もありましたが、現在はどうなったのでしょう?
あれは、ちょっとイマイチだな~と感じてましたが。。。
というのも、低学年の子供に直接公共の場に文字を書かせて問題はないのだとうか?幼い子どものプライバシーの危険性は無いのだろうか?
ぶっつけ本番をする前に、事前に子供のインターネットスキルを向上させることが好ましいかな?と思うのですがどうでしょうか?
そんな中で、ulala家の子供達の学校にも取り入れられたのが、
Espaces numériques de travail (ENT) デジタルワークスペース
「学校での活動を、デジタル化しましょう」という取り組みです。
ENTは、現在26つある各アカデミーが、各自、独自のツールを開発し学校に適応させていっているところで、地域によっては、まず高校から始めていたりと、小学校レベルまで浸透していない場合もありますが、息子のクラスCM2では取り入れられたもようです。
↓こちらがそのログイン後の場面。
ネット上に学校があると言うイメージを持たせるためか、自分の机から見た教室のイメージが初期画面になっていて、左下の白いタグは、自分のネームカードになっています♪
メールでのコミニュケーションのお勉強
最初に行われたのは、子供同士のメールでのコミュニケーション。
ENT上で、それもクラス内のみでやりとりが行えるメールで、みんなでメッセージを送りあってました。
メールのやりとりですが、こちらがいいのは、クラス内の閉じられた空間でメッセージを送る練習ができると言うこと。
送ったメールがそのままダイレクトに届くわけではなく、先生の承認が必要なのがみそなのです。
例えば、
A「みんな~元気~~♪」
先生: 削除「意味ない文は送らない」
B「こんきちわ、教は何何が、あって・・・」
先生: 削除「綴りの間違いが多すぎる。何書いてあるか伝わらない」
C「そっか~lol」
先生: 削除「SMS用語(lol等)使わない」
D「どうして、そんなこともできないんだよ~。バカじゃないのか?」
先生: 削除「人を傷つけることは書かない」
と、先生が”華麗”にメッセージの添削、削除(笑)
限られた空間の中だけでメッセージのやりとりを行うことにより、実践をする前にメールのマナー等が学べる機会があります。
おまけにフランスでは中学校入る時点でかなりの割合の子供達が正確な綴りの文章が書けないという結果がでてますが、SMSなどの省略文字に慣れる前に、正確な文字を書く練習の場にもなっているようです。
メッセージは学校が終わってから書くので、ただでさえ少ない授業時間を削ることなく、宿題と言う重圧感もない状態でプラスの教育になるのも評価できます。
親も通さなくていいのでこちらの負担も無く、クラス内のコミュニティー手段になっていて、今のところなかなかいい感じです♪
連絡帳
「連絡帳cahier du text」のページもあります。
日本同様、フランスでも連絡帳は小1ぐらいのころから宿題や親へのお知らせを書くのに使われています。
連絡帳を書くことは、
- 字を模写したり
- 先生が言う言葉を聞き取って書いたり
- 前に書いてあることを区切るために線を引くことで、線を書く練習をしたり
- 自分で書いた宿題を家で実行したり
- 親に言葉で伝えたことが正確かを、親がチェックすることができたり
と、かなり意味があります。
これはこれで続けられるべきですが、しかし、これが毎日学校に行っている場合はいいけど、病気などをして学校を休んだ場合が困ることになるんです。自分から聞かないと、誰も宿題内容を教えてくれません。それで忘れると怒られます。
まあ、それでも小学校の間はまだいいかもしれません。
でも、中学校では病気で休んで宿題等ができないと、成績表に確実に反映され深刻化します。
中学では授業をする先生も増えますので、各先生に宿題内容を聞くことも困難になり、最終的には友達に聞くしか方法がないようです。
しかも、その友達がちゃんとノートに書いて来るしっかりした子でなくてはいけないらしい。
すでに中学校に行ってるお母さん曰く、
「なるべく近所で、自分の子供とレベルがあったお友達を見つけることが大切。突然、授業が無くなった時も、交代で学校に迎えに行くこともできるからね。そういったお友達と同じクラスになれるように、去年は校長先生に頼むことができたのよ。ぜひ、頼むべきよ。でも、今年は変わったから今年はできるかどうかはわからないけどね。」
( ̄□ ̄;)な、なんですか、そのカオスな世界は・・・
それ、かなり家庭環境によって、不利な状況ができるんじゃないだろうか?
共働きしている家庭では、同じ事できるの?
いや、多分、田舎だからある話なんだろうと思うので、他の学校がそうではないと思いますが。
(ちなみに、海外への転勤族が多い私立の学校は、もっと友達同士や親同士の結束がドライだし、先生に聞けるのでそういったことはないらしい)
と、こういった状況も、この電子版の連絡帳cahier du textがあれば解決できるのです。
と言うか、
「今まで無いのがおかしいいだろ、この時代に、マジで(汗)」
とつい思ってしまいますが、
とりあえず、学校ごとの小さい規模で作られたシステムではないのがポイントです。
フランスでは、先生の技量により各クラス毎に行えることの差がでてきますが、アカデミーで開発されているため、全学校が同じシステムを使えるということ。
これから中学、高校に行っても使える環境は確保されているかもしれません。
学校行事の告知のページ
フランスのうちの子供達が通っている学校には、日本ではあった電話連絡網なんてものがありません。
今まで、天気の状態で予定されていた行事が延期やキャンセルになる場合は、
前の日に連絡
もしくは、
学校の前にメモが貼りだされていました。
ということで、前日に連絡がなく、天候が怪しい場合は学校の準備と、行事の準備をして学校行って初めて情報を得れる生活。
まあ、フランスの一クラスの人数は25人前後で、活動もクラス単位。そのため大人数を相手にすることがないたく、大きな問題もなく機能しているのかもしれませんが、このアナログ感に誰も疑問を抱かなかったのか?と思わずにいられません。
それでも、2,3年ぐらい前からは、アカデミーが用意したメールアドレスが各先生にも配布されることになったのか、先生に直接メールを送ることもできるようになりましたが。。。
ということで、
このサイトができたことで、ようやくそういった急な予定変更の告知も、ネット上で見れるようになったのですε-(´∀`*)ホッ
ENTを活用している学校の動画
※フランス語のみです。
ロボットで授業に出席できる高校
デジタル化の政策の中に入るのかは、分かりませんが、先月リヨンの高校で学校を休んでも、ロボットを利用して授業を受けれるシステムが紹介されていました。
授業欠席しても大丈夫!ロボットが代わりに出席 フランス
【1月22日 AFP】フランス・リヨン(Lyon)の高校で21日、高校生に交じって授業を受けるロボットの姿が見られた。ロボットは、欠席した生徒が自宅からでも授業の内容を確認できるよう代わりに「出席」してその内容を送信する。自ら動くことも可能で、授業にもしっかり参加するという。(c)AFP
↓AFPの動画は直接見れませんので、下記の動画内のリンクから表示ページに飛んで下さい。
どうしてロボットじゃないとダメなんだろう?
PCかタブレット置いて、スカイプでいいんじゃないの?
自分で移動ができることが利点らしいけど、クラス外の移動で階段があった時はもっと面倒なんじゃ?
といろいろ疑問点はありますが、
政策の中の「デジタル技術の成果を国際的にアピールする」と言う点では、
このニュースは日本にまで紹介されている時点で成功していますよね。
技術国ニッポンがんばれ
いや、日本の方が絶対上を行ってるだろうと思うのですが、実際はどうなのでしょうか?
今、こんな感じでヨーロッパの国々で次々とデジタル化に力を入れているようです。
ロボット大国と言われる日本なら、こんなロボットなら、簡単に作れたりしちゃうんじゃないでしょうか。
もしかしたら、もう作られているのかもしれません。
でも、それがフランスには紹介されてないなら、
日本のアピール力に問題があるのかも?
何か教育のデジタル化に貢献できる物を作ったら、
センセーショナルに宣伝すべきですね。。。
そして、ど~んと自社製品をヨーロッパに輸出!!!
してくれたらいいな。。。と密かに願ってやまないulalaなのでした♪
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