フランスのパリにあるピティエサルペトリエール大学病院(Hôpital Pitié-Salpêtrière-Université)の研究チームが、
ニコチンパッチは妊婦の禁煙に効果がない
という結果を出したそうです。
英医学誌のブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)に掲載されました。
喫煙する妊婦が多いフランス
「たばこは胎児に与える影響が大きい」
と言うことで、妊娠中は禁煙する方がいいとされていますが、なかなか簡単には辞めれない人も居ます。
喫煙するよりも、反対に禁煙してストレスを貯める方が悪い
と、喫煙しているフランス人妊婦もよく見かけます。
そのストレスを最小限に抑えながらする「禁煙方法」を模索する妊婦。
そんな、悩める妊婦がたどり着くのが
「ニコチンパッチ」
禁煙のアドバイスをするお医者さんなどに薦められて使用してきたものの、
今回、効果が無いと言う研究結果がでたようです。
具体的な調査内容と結果
フランスに拠点を置く研究者のチームが、16時間のニコチンパッチの有効性を検証しました。
対象者:
・妊婦402人
条件:
・年齢18歳以上
・妊娠週数 12週から20週
・少なくとも一日タバコを5本吸ってる
方法:
ニコチンパッチとプラシーボ(偽薬)パッチをランダムに配布し、禁煙支援を受けつつ毎月評価
結果:
・禁煙に成功した人
ニコチンパッチ組 11人(5.5%)
プラシーボパッチ組 10人(5.1%)
・子供の平均出生体重
ニコチンパッチ組 3065g
プラシーボパッチ組 3015g
・血圧
ニコチンパッチ組の方が大幅に高い
ということで、
ニコチンパッチしてもしなくても、禁煙に成功した被験者はほぼ同じ人数。
ニコチンパッチしてもしなくても、あまり結果に変わりが無かったのです。
おまけに、ニコチンパッチをしていたグループの方が、血圧が大幅に高かったということ。
この結果、禁煙を促すには、薬剤では効果はみられず、カウンセラーや禁煙グループなどによる「行動支援」がとても重要だと結論づけているようです。
フランスの妊婦、実際
ニコチンが血液から胎児に入ると低体重になると言う話ですが、この結果を見る限りではニコパッチを使っても、胎児の体重には影響してないようですね。
まあ、だいたい子供の体重自体、個人によってバラつきがあるので、平均値ではなんとも言えませんが。
日本では、周りの目を気にするせいもあるし、実際禁煙を努力する人も多く、妊婦が喫煙しているのはあまり見かけませんが、フランスではよく見かけます。
ビックリしたのが、出産準備教室に行っていた時、一人の妊婦の質問。
妊婦「母乳を上げる時、どのタイミングで喫煙するべきですか?」
( ̄ェ ̄;) エッ?まず、喫煙前提?
いや、それなら母乳じゃなくて人工乳って選択もあるのでは?
と思ってたら、助産婦さん
助産婦「吸ってから2,3時間は母乳をあげないようにして下さい」
と、即返。
( ̄□ ̄;)ギョッ「禁煙」のアドバイスも無しに速攻返答なの?
と思いましたが、ニコチンが排出されて体内からなるべく少なくなるように、時間を開けて下さいと言っていたわけです。
まあ、知識も無しに隠れて吸って後で子供に重大な問題発生というよりも、問題点を少しでも避けるためにアドバイスをもらう姿勢は前向きでいいかもしれません。
黒か白ではなくて、真ん中のグレーゾーンもある。
日本とフランスの感覚の差に驚いた瞬間でもありました。
参照リンク
・Nicotine patches do not appear to help pregnant smokers to quit
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