重国籍を認めない日本の国籍法が、父母の国籍が違う家庭にどのような問題をもたらしているのか?
2016年10月27日に行われた記者会見の動画です。
なかなか興味深い内容ですので、重国籍のお子さんを持っている方、長年外国に暮らしている方はぜひご覧ください
会見の内容
現在、先進国では、長く住むなら国籍を取りなさいと言う方向に進んでいます。しかに、日本が重国籍を認めていないため、住んでいる国の国籍を取ることはできません。
また、日本の国籍法は、海外に出る日本人は、短期間で日本との関係が薄くなるだろうという想定で作られており、現実と即してません。
トルン紀美子さん(ドイツ在住)
国際結婚を考える会の方
重国籍が取れない場合、国外で住んでいく上で問題が生じてくる場合がある。
まず、子どもの出生から3カ月以内に日本国籍の留保届を出さないと、国籍を失う制度。日本国内なら14日以内の期限を過ぎても出生届を受け付ける。しかし、外国で生まれただけで拒否される。「せめて1年以内に延ばしてほしい」
第2に国籍を2つ持つ場合、22歳までにどちらかの国籍を選択する制度。選択しなくても法務大臣の催告は一度も行われていない。複数国籍を維持している例も多い。「人によって差が出るのは不公平。機能していないのなら削除してほしい」
第3は外国籍を取得すると日本国籍を自動的に失う規定。仕事のため外国籍を必要とする日本人は国籍放棄を強いられる。「海外で働く人材を日本から切り離そうとする」
例えば、国籍が取れないため、イギリスからフランスに半年出向してくれと言われた時に、半年イギリスを離れると滞在許可が無効になるので行けず、キャリアアップの機会を逃すことになる。重国籍が認められてないため、海外で活躍する日本人の足を引っ張っていることになっている。
日本人カップルのお子さんでドイツ生まれだが、国籍は日本だけで育って来た。しかしドイツのナショナルチームに参加する時にはドイツの国籍を取らないと出場できないためドイツの国籍を取った。それと同時に日本パスポートを返却しなくてはならなくなり日本国籍を無くしたのがとても悲しかったと語る少女の話など
ピレー千代美(フランス在住)
12年間、重国籍を認めてもらえるよう国会議員に陳情してきた方。エールフランスで嘆願書の紙を貰ったかたもいるはず。
2人の子どもを育てた体験を語り「父か母かどちらかの国籍を踏み絵のように選ばせる。多様な背景を持つ『日本人』が増えることは日本にとってプラスなのに」
フランスには永久滞在許可書がなく、10年滞在許可書しかない。フランスの国籍を取れないと言うことは10年おきに滞在許可書を取らなくてはいけない。
注:ピレーさんは、Cartes de résident (10 ans)の話をしているのだと思いますが、現在、carte de résident permanentや、EU国籍の伴侶にはUE- séjour permanentと言うのがあります。でもそれでもカード自体の変更は現時点では10年ごとには必要
武田里子・大阪経済法科大客員研究員は研究者
「形骸化した制度を維持しても弊害は多い」と強調し、二重国籍子弟の日本留学支援を提唱した。
生まれ育ったアイデンティティーを取り上げる。グローバルな活躍を排除する。閉じた法制度に苦しむのは子どもたちだ。
質問タイム
・蓮舫議員がきっかけで、重国籍問題が公になったが、この記者会見はそれ以前に企画したもの。
・国会議員と、一般の人達の重国籍問題は切り分けて考えた方がいい。
・2重国籍を持っていることは必ずしもバラ色の人生ではないはず。国籍を一つにした方が幸せになれるのではないか?
→ピレーさん:国籍が一つになるから幸せになるわけではないと思います
→武田さん :例えば日本に親の介護のために帰って来るときに、外国の国籍を取ったから突然の時にすぐ帰ることができないとかそういう時にも困ります。重国籍を持っていたとしても、その全ての国籍を全てフルに使いこなすわけではなく、形式的な物として取り扱われていくと思うので、重国籍であるから不幸になることはないと思います。
コメント
恐れ入ります。carte de résident permanentや、UE- séjour permanentの件、そういうものができたのか、とフランス政府のサイトを見て来たのですが、EU出身者対応なのかなと思います。とはいえ私の読解力がないだけかもしれませんので、もしご確認いただけましたら幸いです。
UE- séjour permanentは、EU出身者の伴侶で自動でなりますが、carte de résident permanentは、フランス人の伴侶ですよね?取得されたかまでは確認してませんが、申請されている方結構いますよ。