なんでもある日本、なんにもないフランス(2)

ということで、風邪引いて、日中は起きる気力もなかったのですが、
子供を迎えに行って、夕食作って、宿題みて。。。
死にそうでもやらなくちゃいけないこといっぱいで、
気がつけば、シャンとせざるおえない・・・

ふ~辛。。。。


昨日からの続き。

夏はケイケイとミミの日本語教育のためにも、日本に帰る努力をしているulala家。
この何年か、ほぼ毎年帰っていました。

で、今年の夏。子供達も成長して、自己主張が激しくなってきた年齢・・・
今年はいままでとは少し違った感は確かにありましたが。。。

日本に帰ってしばらく経って不思議なことが。
フランスにいた時は、あんなに毎日張り付いてしていたチェスをケイケイがしていない。

どうしたのいったい?と思って聞くと

「だって、バカンスだから。バカンスはなにもしちゃいけないって。」

・・・・

誰かに言われたのでしょう。フランスにいる限り、
この言葉をすべての人がケイケイに言う可能性があります。

そして、まだ7歳の子供は、この大人の言う言葉をしっかり信じた模様。

一応、
「ずっとしないとできなくなっちゃうからね。」

とは声をかけたけれども、ulala的気持ちとしても、

「そう。自分で決めたことなら、その通りやってみなさい」
「それに、夏休みはいつもと違う体験や経験をさせたほうがいいかもしれないし。」

という、思いがあったので、ケイケイの意思にまかせておくことに。。

それでもって、なんでもある日本。
フランスから時々しか来ないので、なにもかもが珍しいっていうことも追い打ちをかけます。

ケイケイが自分でチェスをしないって宣言しなくても
毎日がいろんなことに満ち溢れ、新しい刺激に心を奪われて、
ハッキリ言って、チェスなんてやっている時間なんてありませんでした。

フランスでチェスに熱中してたのは、暇だからってことで、
こんなに毎日楽しいことがあれば、やらないんだな。。っていうのが正直な感想。

これだけいろんな物が周りに満ち溢れていて、
勉強に集中できている子供達の方がすごい!


そして、あっという間にそんな楽しい夏休みが終わり、フランスに帰国。


感覚的には、常に騒音に満ちあふれていた日常が
突然、シーンと音のない世界になったとでも言いましょうか。


日本での余韻にしばらく浸りながらも、
ある日、フランスでの日々がとっても暇な事に気がついたケイケイ

あっ、そっか。。

とチェスをやり始めると・・・

なんと、夏前までには余裕で勝っていたレベルに負け続けるようになりました。

負けるのでおもしろくないので、続けてしません。

なので、感ももどらず、やれば必ず負けます。で泣きまくります。

負けるのでもうやりません。

でも暇なのでやると負けるので泣きます。

「ほら、だから言ったでしょ。なにもしなかったらできなくなるのよ。」

というulalaの言葉がしっかり身にしみたケイケイ。

それでもやっては泣く。やっては泣く。
そんな日々が何日か続きました。


チェスって、自分でもやってみてほんとに思うけど
「人生そのもの。」
人生には戦略があって、駆け引きもあって、こうだと突き進んでみてもあっちの見事な戦略に負けることがあって。。。
そんな人生の縮図が凝縮されているのがチェス。ある意味、人生のシミュレーションをしているようなものです。

そこに、激しい情熱で挑んでいくケイケイの姿はキラキラして素敵でした。

だけど、そんなケイケイが打ち負かされてすっかり憔悴しきっている。

そう、人生には山あり、谷あり。経験したことのない世界に溺れることあり。

今のケイケイの状態は
これから将来起こるかもしれない挫折のシミュレーション。
だから、ここから立ち直ることも経験しておかないと。。。

泣くたびに
「じゃあ、もう今年はクラブも行かないで、チェスもやめればいいじゃん。そんな泣くなら辞めれば?」
と、言うのだけど、ケイケイは
「チェスは続ける。クラブにも行く。」
と決意は固い。

ということで、そこから2週間。毎日、ケイケイといろいろがんばってきました。
(このあたりサラっと書いているけど、精神的に来る壮絶な2週間でした)


そして、ようやく最近、ケイケイのキラキラが戻ってきたところです♪

なんでもあっていろんなことができる日本。
子供達もフランスでは学べないことをいっぱい体験してきたけど、
ある意味、いろんな物が満腹気味に存在して、自分がしっかりしていないと目移りしちゃう。
その豊かさに溺れて、集中できなくなってしまう危険性もあることを認識。
その中で生きていて慣れている場合は大丈夫だけど、慣れてないとね。。


なんにも無いフランス。

なんにもないから、かなり暇
でもなんにもないと言うことはよく言えば選択肢が少ないと言うこと。
だから、一つのことに集中できたり、迷うことがない。
いつも足りないっていう渇望が、前進の力にもなる。


なさすぎもだめだけど、ありすぎもだめ。


人間腹八分の方が健康にいいと言うけど、
いつもなにか足りない状態であることは実は大切なこと。

今年の夏は、親子共々、いろんなことを学べた夏になったのでした♪