日本の本の翻訳本はどのようにフランスで出版されるのか

よく、フランスの本屋さんに行くと、日本語の本がフランス語に翻訳されて並んでいますが、
この本は、どういう経路で翻訳されるのかな?と思ったことありませんか?

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いろんな経路があるのですが、その中の一つをご紹介。

JLPPを通じて日本の本を探す

JLPPを通じて、日本の本を翻訳したものを販売する。

JLPPというのは、2002年に文化庁が現代日本文学の海外への発信・普及を推進するために立ち上げたプロジェクトです。
発足以来、明治以降に発表された現代日本文学作品のなかから専門家による会議において候補作品を選定し、それをさまざまな言語に翻訳して世界に普及している機関。

JLPP
http://www.jlpp.go.jp/

ここに出版したい会社が、翻訳された文を頼んで出版。

フランス側としても、翻訳したり、いろいろなことを省略できる便利な機関でもあります。

もちろん、選ぶのは、フランス人の編集者。

日本の本がフランスで出版される例

ということで、
In8という出版社が、「ESCAPADES」というシリーズ本の第二弾として、
JLPPで見つけた日本の本を出すことに。

10月6日発売で、現時点では未発売♪
中身は、内田百閒の処女作の「冥土」にも含まれている「花火」とか8本の短篇集です。

「冥途」より:「花火」「木霊」「蜥蜴」「柳藻」「疱瘡神」
「旅順入城式」より:「遣唐使」「流禍」「雪」

内田百間

この話の経緯を教えてくれた、編集者のIsabelle Royさん♪
自ら日本の本を出版するこを企画して、どの本にするか決断したのも彼女です♪


冥途

内田百閒について調べてみる

でも、しかし、イザベルに「内田百閒」って知ってる?
と何度も聞かれたのだけど、まったく知らなかったulala。
いつものように調べてみました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/内田百間

1993年大映公開の黒澤明の遺作となった「まあだだよ」は内田百間さんがモデルなんですね。
だから黒澤明好きのフランス人に、この作家が選ばれたっていうのはありそうです

http://ja.wikipedia.org/wiki/まあだだよ

内田百間さん自身も、なかなかおもしろそうな人。

芸術院会員の辞退の時の話が有名で、

「貧乏な自分には60万円の年金は有難いが、自分の気持ちを大切にしたいので、どんな組織にでも入るのが嫌だから辞退する」

が、

「イヤダカラ、イヤダ 」

と言う逸話になった辞退の弁が人物を語っていそう。

↓人物像をよく捉えた話を見つけました。
日本一のガンコ、カミナリオヤジ・内田百閒 のユーモア
http://maesaka-toshiyuki.com/detail?id=253/

↓内田百間関係ののすごいコレクションのページ
百鬼園の圖書館
http://www.biwa.ne.jp/~tamu4433/


ふ~ん。なんだかおもしろそう。

で、イザベルが本をくれたのですが、

「私も読んだけど、なんだかすごい妄想の世界に入って、
モンスターとかでてきて、ほんと変わった本だったわ。」

そ、そんな内容の本を
フランス語で読めるかしら。。。(;^_^A アセアセ・・・

ということで、今日から、この本をよむ予定。最後まで読みきれた褒めてね♪


そんな感じにJLPPを通じて出版される日本の本のフランス語翻訳版。
結構、でています。

「ESCAPADES」というシリーズでも、もしこの「内田百閒」の本がよく売れれば、
シリーズの中で、また日本の本を紹介する可能性も!

なかなか興味深いですね♪

JLPPを通じてフランスで出版された本のリスト


JLPPを通じてフランスで出版された日本の本

(題名にその本の詳細ページに飛べる様にリンクが張ってありますのでどうぞ♪)

Au-delà des terres infinies
(Chuin no hana)
Sôkyû Genyû
中陰の花
玄侑宗久
 
Dogra Magra
(Dogura magura)
Kyûsaku Yumeno
ドグラ・マグラ
夢野久作
 
Errances dans la nuit
(Anya koro)
Naoya Shiga
暗夜行路
志賀直哉
祖父と母との不義の子として生まれた宿命に苦悩する人主公時任謙作は、単身、尾道に向い、千光寺の中腹の家を借り、一人住いを始める。しかし、瀬戸内海の穏やかな風光も、彼の心に平安をもたらさない。長年月を費してなった志賀直哉唯一の長篇。
Fantômes et samouraïs : Hanshichi mène l'enquête à Edo
Hanshichi mène l'enquête à Edo
(Hanshichi torimonocho)
Kido Okamoto
半七捕物帳
岡本綺堂
著者綺堂が、長く病に臥せっていたとき『江戸名所図絵』を通読、これが『半七捕物帳』を書くきっかけになったという。人間味豊かな捕物帳の世界を描いて、 江戸の風物詩を現代に伝える永遠の傑作!「柳原堤の女」「ズウラフ怪談」「妖狐伝」等十一編収録。推理、怪談小説、新歌舞伎の劇作家として高名な著者の代 表作、より読みやすく新装刊。
Histoire d'un squelette
(Jinkotsu tenjikan)
Eiki Matayoshi
人骨展示館
又吉栄喜
 
Journal d'un prisonnier de guerre
(Furyoki)
Shohei Ôoka
俘虜記
大岡昇平
 
Jusqu'au soir
(Yugure made)
Junnosuke Yoshiyuki
夕暮れまで
吉行淳之介
 
L'Ecole de la liberté
(Jiyu gakko)
Bunroku Shishi
自由学校
獅子文六
 
Le Cercle de famille
(Hoyo kazoku)
Nobuo Kojima

抱擁家族

小島信夫

 
Les 47 Rônins
(Ako roshi)
Jirô Osaragi

赤穂浪士

大佛次郎

 
Les cheveux blancs
(Shiraga no uta)
Yoshikichi Furui

白髪の唄

古井由吉

「白髪というものは、時によって白く見えたり黒く見えたりするものですね」-知りもしない唄をゆるゆると、うろ声を長く引いて唄うような気分。索漠と紙一 重の恍惚感…。老鏡へ向かう男の奇妙に明るい日常に、なだれこむ過去、死者の声。生と死が、正気と狂気が、夢とうつつが、そして滑稽と凄惨とが背中合せの まま、日々に楽天。したたかな、その生態の記録。毎日芸術賞受賞。
Nuages flottants
(Ukigumo)
Fumiko Hayashi

浮雲改版

林芙美子

第二次大戦下、義弟との不倫な関係を逃れ仏印に渡ったゆき子は、農林研究所員富岡と出会う。一見冷酷な富岡は女を引きつける男だった。本国の戦況をよそに 豊かな南国で共有した時間は、二人にとって生涯忘れえぬ蜜の味であった。そして終戦。焦土と化した東京の非情な現実に弄ばれ、ボロ布のように疲れ果てた男 と女は、ついに雨の屋久島に行き着く。放浪の作家林芙美子の代表作。
Une vague inquiétude
(Akutagawa Ryunosuke
tanpenshu)
Ryûnosuke Akutagawa
   
Histoire du poete qui fut change en tigre
Changé en Tigre
(Sangetsuki)
Atsushi Nakajima

李陵・山月記

中島敦

前漢の武帝の時代。侵略をくりえかす匈奴を討つために北辺の地へ向かった李陵であったが、やむなく捕虜となってしまう。そしてその李陵を弁護した歴史家・ 司馬遷は、宮刑に処され-。時代の波に翻弄される男たちの姿を描き、“人間の真の美しさ”を問う「李陵」、己の自尊心のために虎の姿になってしまった詩 人・李徴の苦悩を綴った「山月記」など、漢籍に材を採った作品全七篇を収録。
Manazuru
(Manazuru)
Hiromi Kawakami

真鶴(まなづる)

川上弘美

遠いいつか、あなたとも、会えるのね

失踪した夫の日記には、ただ一言「真鶴」と記されていた。不在の夫を思いつつ、恋人と付き合う京。「存在とは何か」を問う傑作長篇。

失 踪した夫の日記にただ一言記されていた「真鶴」の文字。それにひかれるように、京(けい)は真鶴に足を運びます。十年以上も行方不明の夫を思いながらも京 は恋人と付き合い一人娘を育てます。娘の成長に戸惑い、恋人との関係に悩む一方で「いない者」を強く感じ続ける京の心の揺れ動きは「存在とは何か」という ことを考えさせられます。
常に新しい世界を覗かせてくれる川上弘美さんにとっても「ターニングポイントになるかもしれない」という期待の大作です。